自分の結婚生活がまったくうまくいってない結婚コンサルタントと、結婚相談所を訪れる、どうしても結婚したい男女が繰り広げるミュージカル・コメディ。ミュージカル作家ハマナカトオルが、ミュージカルの世界で大活躍する音楽家、 宮﨑誠と初めてコンビを組んで創作した、『結婚』をテーマにした作品。結婚している人も、結婚していない人も、結婚したい人も、結婚したくない人も楽しめるミュージカルです。
結婚コンサルタントの小田島史郎は、結婚したい男女を結びつけるプロフェッショナル。今日も、どうしても結婚したい男女が、大勢小田島の結婚相談所を訪れる。年の差カップルでも年収格差カップルでも不似合いカップルでも、 小田島の説く「結婚10の喜び」で、みんな結婚したい気持ちになってめでたくゴールイン! しかし、そんな小田島も、自分の結婚は地獄だった。悪妻の花美のせいで、家庭はいつもひっちゃかめっちゃか、最悪の状態に!! 結婚することに喜びなんてあるのだろうか?? さて、このミュージカル、どっちに転ぶ・・・!?
◆ミュージカル「結婚行進曲」の作曲・編曲家は、宮﨑誠さんです。上演をご希望の方は、上演許可申請書を提出していただき、作曲家の許可をいただいてから、譜面を送らせていただきます。
この作品でテーマに選んだのは「結婚」です。このテーマは、4月に上演した作品のテーマ「般若心経」に負けないほど深い謎と哲学に満ちた恐ろしい題材(笑)。脚本家の腕が鳴ります。
私も、結婚30年以上になりますので、結婚というものを自らの体験で理解しているつもりです。年を取ると、二人の老後や死に別れる時のことを、少しずつ気持ちのうえで準備するようになりました。 夫婦は、結婚したら生き別れるか死に別れるしかありません。たかだか数十年、一緒にいるだけですが、そこに、はたして何らかの意味は生まれるのでしょうか。私には、若い時に読んだキリスト教作家、遠藤周作さんの文章が、 ひとつの意味として心に刻まれています。結婚までは、若くきれいな恋人同士で夢を見ていられても、結婚した後からは、リアルな現実の生活が続く。人間というものは、徐々に年を取り、汚く、醜く、臭くなっていく。 糞便を垂れ流したり、膿を出したりするものだ。それでも相手を見捨てずに抱きしめていると、最期に、その醜く汚い存在が、光を放つ愛というものに変わるというのです。最期まで抱きしめ続けた者が、その愛を知ることが出来る。 それが結婚だと、遠藤周作さんは書いています。私は、この文章に影響を受けたので、結婚する人生を選びましたが、最近は、結婚しない人生を選択する人も増えているようです。「結婚してもしなくても、どの道、 君は後悔するだろう」と言ったのはソクラテスですが、まさに金言でしょう。どちらの道も、いいことばかりは、あり得ません。結婚している人は、自由な独身の人を羨ましがり、独身の人は、所帯を持っている人の暮らしに思いを馳せるものでしょう。
私は、今回の台本では、男女の出会いから結婚に至るまでの《結婚第一章》を、結婚相談所を訪れる男女のドラマに描き、結婚してから生き別れるか死に別れるまでの《結婚第二章》を、主人公の家族のドラマに描くことにしました。 その二つを描くことで、結婚の両面を対比させてみたいと思ったのです。結婚したい男女の群像劇は「グランドホテル形式」を意識していました。書きながら、この題材は連続TVドラマでワンクール行けると思ったほどでした。ずいぶんまとめましたが、 それでも、私の作品ではページ数の多い台本になりました。
作品中に、主人公が説く「結婚10の喜び」という歌が出て来ます。これは岩波文庫「結婚十五の歓び」から取りました。本屋でタイトルが気に入って、小劇場ミュージカルになるかなと思ってずいぶん前に買ったのですが、 内容は中世フランスのコント集(作者未詳)で、現代とはあまり通じず、そのままでは作品化出来ずにいたのを、ここで使いました。作品の中で重要な役割を持つ楽曲になりました。
作品後半で登場人物全員がハワイへ行くのは、作品後半が海辺のリゾート地で展開するビリー・ワイルダー監督の傑作喜劇映画「お熱いのがお好き(1959年米)」をイメージしています。マリリン・モンローが水着姿で、 ビーチボールで遊んだりしていましたね。開放感があっていいなと思ったのです。なにより多くの日本人が結婚式を挙げるために行く場所(年間2万組以上)ですから、この作品のクライマックスの地にふさわしいと思いました。 稽古場でさえ、ハワイ気分になりましたよ。
新作ミュージカルの創作は、初日の幕が降りるまで一瞬一瞬が心配の連続です。話の語り口はいいか。一つ一つの場面はうまくいっているか。演出や振付はいいか。音楽はドラマを語っているか。絵は美しいか。場面が想像しやすいか。 繋げた時、時間の感覚はどうか。興味を持ってドラマを追っていられるか。役とキャストを愛していただけるか。感動はあるか・・・気になることは膨大。そんな中でも一番難しいのがコメディの創作で、難しいからやりがいがあるとも言えます。 お客様を笑わせ楽しませ、最後にわっと感動させて幕を降ろす。そんなコメディを目指したいと思っていますが、見果てぬ夢です。でも、限りなく難しいので全力を尽くせる。そんな仕事にチャレンジ出来て幸せです。 結婚生活と同様、一日一日、長く続けて行けるよう、精進したいと思います。
作・編曲、演奏、指揮、音楽制作、歌唱指導など、様々な方面から舞台音楽に携わり、主な音楽監督作品に「サイド・ショウ」「ビクター・ビクトリア」「プロミセス・プロミセス」「10ミリオン・マイルズ」 「ザ・ビューティフル・ゲーム」「モンティ・パイソンのスパマロット」「tick,tick…BOOM!」「スペリング・ビー」「Bare」「クロスハート」「ディートリッヒ」「ソォース!」「キャプテン翼」「ブロードウェイミュージカルライブ」シリーズ、 「華麗なるミュージカル音楽の世界 ガラコンサート」シリーズ、「ドラマティック・ミュージカル・コレクション」シリーズ、「The Harmony~DIVAの響宴~」シリーズ、ミュージカル・ライヴ「イチラス!」。 他に、劇団四季、東宝ミュージカル、宝塚歌劇団、音楽座ミュージカルなどにて、指揮、演奏、編曲多数。コンサートプロデュース、CDプロデュースも数多く手掛ける。SMAP、Kinki Kids、ケミストリー、ユン・サンヒョン、 FTISLANDらへの楽曲提供を行う。ミュージカル座には、2016年ブロードウェイ・ミュージカル「ブルックリン」で初参加。ハマナカトオルとコンビを組んで、2017年「結婚行進曲」、2018年「タイムトラベラー」を発表している。