ミュージカル「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」
ミュージカル「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」
作品内容

この歌が世界に届く時、願いの歌声が響く時、長く暗い歴史は変わる。

1950年代のアメリカ。長く続いた人種差別をなくすために、黒人たちは勇気を持って立ち上がった!自由の歌を高らかに歌いながら――!

ミュージカル「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」は、1950年代のアメリカで起こった、黒人の公民権運動を描いたミュージカルです。事の発端は、1955年にアラバマ州モントゴメリーで起こった黒人女性ローザ・パークスの逮捕事件。 黒人がバスの白人の席に座ったため、バスから引きずり降ろされて逮捕されたこの事件に抗議するため、モントゴメリーに新しく赴任して来たマーティン・ルーサー・キング牧師の呼びかけに応じて、全市の黒人がバスをボイコットして歩き始め、 ついにバスの座席の人種隔離撤廃に成功します。この時、黒人たちが“自由の歌”を歌いながら行進したという実話をミュージカル化したいと考えたハマナカトオルと山口琇也のコンビが、 22曲のドラマティックなナンバーと感動的な脚本で綴るミュージカルとして、1993年に書き上げました。

ドラマは、貧しい黒人女工が働くアネットの店を中心に、キング牧師に憧れるジャネット、裕福な白人青年トムと婚約し、白人社会と黒人社会の板挟みになって苦悩する混血黒人女性のフィリス、 人種共学を求めて白人の大学へ入学を決意するジャネットの弟マイク、KKK団による白人の暴力に暴力で対抗しようとするスパイク率いる黒人グループ“キッズ”などの登場人物が、ローザ・パークス事件をきっかけに、 一斉に公民権運動に巻き込まれて行く姿を描きます。キング牧師やマルコムXなど実在の人物はいっさい舞台に登場せず、物語はフィクションですが、市民が勇気を持って立ち上がり、一致団結して社会を変えた20世紀の民衆革命を描いています。

ミュージカル「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」
キャスト表
ミュージカル「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」
脚本
ミュージカル「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」
楽譜
作家より
シアター・ギルドに憧れて
脚本・作詞 ハマナカトオル

「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」は、1993年に、私と作曲のビリー(山口琇也)さんがコンビを組んで初めて書いたミュージカルです。執筆してから30年近くたっているので、今の私とビリーさんとは別人の、若者が書いたミュージカルです。 私も30代前半でした。今の私の感性で台本を読むと「若い~!」と思うところもありますし、20世紀前半~中盤の古き佳き時代のミュージカル形式で書きましたので「クラシックだな~!」と思いますが、その反面、 今の私では書けない若々しいパワーに満ちている作品であることも感じ、あえて書き直さずに、若者のミュージカルとしておきたいと思っている作品です。これを書いた当時の私は舞台芸術学院の新米教師を始めたばかりで、やる気が漲っていましたので、 こういう作品が出来上がったのだと思います。

人種差別をテーマにした、登場人物のほとんどが黒人役という、派手ではない社会派ミュージカルを想像したのは、私が「シアター・ギルド」のファンだったからです。「シアター・ギルド」は、20世紀前半のアメリカ現代演劇に多大な貢献をした団体で、 ジョージ・ガーシュウィンの黒人フォーク・オペラ「ポーギーとベス」や、ロジャース&ハマースタインの「オクラホマ!」「回転木馬」などのミュージカルを製作しました。私は、若い時から、 この団体の資料や写真を見ているうちに憧れの気持ちを抱いていました。オリジナルの脚本と音楽。スター中心ではなく、歌やバレエのレッスンをしっかりと積んだ舞台俳優たち。社会性のある上演意義の高い作品群。そして、 斬新で意欲的な現代劇に果敢に挑戦する団体の姿勢。何もかもがうらやましく、迷った時にはそれらの舞台写真を見ながら自分を鼓舞していました。

「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」に触れるたび、その頃の気持ちがよみがえってきます。「ポーギーとベス」や「オクラホマ!」「回転木馬」のようなミュージカルを創りたいと願った若き日の情熱を思い出して、 一歩でも理想に近づいているかと自分をいましめ、叱咤激励してくれる。私にとって「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」は、そんな作品です。

ミュージカル「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」
作曲家プロフィール
山口琇也(作曲・編曲・音楽監督)

桐朋学園大学音楽学部卒業後、オペラ、ミュージカルの舞台に数多く出演。

また、スタジオプレイヤー(ベース、キーボード、ヴォーカル)、コンサートのバックミュージシャン、アレンジャー、指揮等々の経験を積んだ後、スタッフ活動に加わり、ミュージカルの分野では「ミス・サイゴン」「レ・ミゼラブル」「回転木馬」「42nd ストリート」「ラ・マンチャの男」「ベガーズ・オペラ」「ブラッド・ブラザーズ」「GOLD~カミーユとロダン~」「ダディ・ロング・レッグズ」等の音楽監督、並びにヴォーカルトレーナーを務め、コンサート、リサイタルの構成・プロデュースなども数多く手がけている。

また、タレント、歌手の方々のヴォーカル指導にも力を注ぎ、あらゆるジャンルに対応出来る声作りを目指している。 「ひめゆり」「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」「ルルドの奇跡」「赤毛のアン」「ママ・ラヴズ・マンボ」「スウィング・ボーイズ」など、オリジナル・ミュージカルの作曲・編曲家としても数多くの作品に参加し、「山彦ものがたり」では文化庁主催海外公演(中国・ベトナム・韓国)を行い、英語台本でのニューヨーク公演は反響を呼んだ。

「ミュージカル座」の作曲・音楽監督として、オリジナル・ミュージカルの新作発表を目標に創作活動を続けている。その他、NHKをはじめ多くのTV番組の音楽スタッフとして活動するかたわら、若い才能の育成にも力を注いでいる。

2006年には舞台の音楽活動に対し菊田一夫賞(特別賞)、2007年には読売演劇大賞優秀スタッフ賞、2010年には日本演劇興行協会賞を授与された。ミュージックオフィスALBION代表。

ミュージカル「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」
作品ビジュアル
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ミュージカル「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」
舞台写真
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ミュージカル「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」
動画
「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」
「自由への行進」
劇団員総勢37名によるリモート合唱「自由への行進」