ミュージカル「ロザリー」
ミュージカル「ロザリー」
作品内容

喪服のフランス王妃マリー・アントワネットと、牢番の女中ロザリー。王妃の死刑執行前夜、二人が初めて語り合った壮絶な運命の物語。神がその人に与えた運命をテーマに、フランス革命に生きた対照的な二人の女性の人生を描いた作品です。 人気のマリー・アントワネットの生涯を描いていますが、主役は民衆側の代表であるロザリー。王妃や貴族を憎んで生きて来た女性として描かれます。セリフのあるオーソドックスなタイプのミュージカル・プレイで、「泣かないで」「アレルヤ」 「あなたのもとへ」「世界をつくるのは女」「仮面舞踏会」「7月14日」など、迫力溢れる21曲のミュージカル・ナンバーが物語を彩っています。

ミュージカル「ロザリー」
キャスト表
ミュージカル「ロザリー」
脚本
作家より
運命についての物語
脚本・作詞 ハマナカトオル

中学生の時、シュテファン・ツヴァイクの「マリー・アントワネット」を読んだ後、不思議な気持ちにとらわれたことを覚えています。人間には、その人自身の力ではどうにも越えられない運命の力があることに気づいた最初の経験でした。 「宿業」という言葉があります。生まれ落ちた時代、国、両親、家、持って生まれた才能や器量、不可避の事故や病気などで、人間の運命は大きく変わります。アントワネットの人生は、人間の無力さと、運命の威力、 宿業の非情さを思い知らされる一生でした。はたして、運命は自分の力によって変えられるものなのでしょうか。それとも、決まっているのでしょうか。

れからしばらくの間、私は伝記を読むことに夢中になりました。その人の人生の中に、運命を見つけるためでした。世界の偉人や、芸術家、映画スター・・・。さまざまな人生の中に運命の法則を見つけることが好きでしたが、 そのなかでもマリー・アントワネットの生涯が際立っているのは、本人が自分の運命を、まったく望んでいなかったという点に尽きます。彼女はいったい何者だったのでしょうか。私は、アントワネットの生涯を思うたび、小さな彼女自身の魂と、 その身に与えられた、あまりに大きな世界史的役割との落差に、厳粛な思いになるのです。彼女はいつも、自分の人生にいやいやと首を振りながら、そこから逃げ出したいと試みますが、そうした小さな抵抗はことごとく失敗に終わり、 彼女を運命通り断頭台に導いてしまいます。彼女が自分に与えられた人生の役割にようやく気づいたのは、死が決定的になったコンシェルジュリーの牢獄でした。そこから断頭台までの彼女は、もはや若い時の軽薄な美女ではなく、 自らの運命を受け入れて崇高な光を放つ存在に変わっています。コンシェルジュリーの牢獄のアントワネットを劇化してみたいという思いは、若い時からありましたが、「マリー・アントワネット」というタイトルの作品ではないと、 漠然と思っていました。

ロザリー・ラモリエールは、最後の牢獄で、死刑直前のアントワネットの世話をした牢番の女中です。実在の人物で、シュテファン・ツヴァイクの「マリー・アントワネット」によると、無学で字も読めなかったと書いてありますが、 それ以上の言及はありません。カストロの「マリー・アントワネット」では、ロザリーがアントワネットを「獄中から逃がそうと画策した」とする記述がありますが、この貧しい民衆の一人であった女性が、なぜ敵であるはずの王妃を救おうとしたのか、 確かなことは分かりません。しかし、もしロザリーがアントワネットを救おうとしたことが事実であるならば、その時ロザリーの心に、どのような思いがわき上がったのだろうと想像した時、私は本気で、 アントワネットの人生の舞台化を考えられるようになったのです。

・・・ところで、運命は変えられるものでしょうか? 私は今、こう思うことにしています。脚本は、過去も現在も未来もひとつ。運命は変えられると信じて努力し、成功したとしても運命。運命は変えられないと嘆いて、人生を捨てたとしても運命。

ミュージカル「ロザリー」
作曲家プロフィール
山口琇也(作曲・編曲・音楽監督)

桐朋学園大学音楽学部卒業後、オペラ、ミュージカルの舞台に数多く出演。

また、スタジオプレイヤー(ベース、キーボード、ヴォーカル)、コンサートのバックミュージシャン、アレンジャー、指揮等々の経験を積んだ後、スタッフ活動に加わり、ミュージカルの分野では「ミス・サイゴン」「レ・ミゼラブル」「回転木馬」「42nd ストリート」「ラ・マンチャの男」「ベガーズ・オペラ」「ブラッド・ブラザーズ」「GOLD~カミーユとロダン~」「ダディ・ロング・レッグズ」等の音楽監督、並びにヴォーカルトレーナーを務め、コンサート、リサイタルの構成・プロデュースなども数多く手がけている。

また、タレント、歌手の方々のヴォーカル指導にも力を注ぎ、あらゆるジャンルに対応出来る声作りを目指している。 「ひめゆり」「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」「ルルドの奇跡」「赤毛のアン」「ママ・ラヴズ・マンボ」「スウィング・ボーイズ」など、オリジナル・ミュージカルの作曲・編曲家としても数多くの作品に参加し、「山彦ものがたり」では文化庁主催海外公演(中国・ベトナム・韓国)を行い、英語台本でのニューヨーク公演は反響を呼んだ。

「ミュージカル座」の作曲・音楽監督として、オリジナル・ミュージカルの新作発表を目標に創作活動を続けている。その他、NHKをはじめ多くのTV番組の音楽スタッフとして活動するかたわら、若い才能の育成にも力を注いでいる。

2006年には舞台の音楽活動に対し菊田一夫賞(特別賞)、2007年には読売演劇大賞優秀スタッフ賞、2010年には日本演劇興行協会賞を授与された。ミュージックオフィスALBION代表。

ミュージカル「ロザリー」
作品ビジュアル
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ミュージカル「ロザリー」
舞台写真
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ミュージカル「ロザリー」
動画
神郡英恵「あなたのもとへ」
冴月里実「世界をつくるのは女」~神郡英恵「7月14日」
今泉りえ「世界をつくるのは女」
ミュージカル「ロザリー」作品紹介
ミュージカル「ロザリー」山口琇也 歌稽古(前半)
ミュージカル「ロザリー」山口琇也 歌稽古(後半)