※この作品は、2020年7月に初演を計画していましたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響のため、稽古開始前に公演中止となりました。台本は完成しましたが、舞台化はされておらず、この作品を観た人はいません。 公演の計画も立っていないため、台本だけを当ホームページに掲載いたします。
就活(就職活動)に悩む現代の若い女性が、クラシックなミュージカル映画「スワンダフル」のDVDを観た時から、映画の影響を受けて自分の進路を考え直すというストーリーの新作ミュージカル。 ミュージカル作家ハマナカトオルと作曲家のtakコンビが、「何処へ行く」「マザー・テレサ 愛のうた」「おでかけ姫」に続き創作したエンターテインメント讃歌。
この作品は、就職活動中の女子大生が、自分の人生の道をさがしていくうちに、就職か芸術かと悩み、やがて「自分の人生はこれだ」と決めるまでを描くミュージカルです。タイトルの「スワンダフル」とは、 主人公の学生が自宅で繰り返し見る古いミュージカル映画(DVD)の題名です。
普通に就職すべきか、それとも好きな芸術の道へ進むか、若い時は悩むものでしょう。私は還暦を過ぎたこの年まで舞台芸術の世界で生きて来ましたが、若い頃、同じような悩みを持っていました。真面目でしたし、親の期待も高かったからです。 とくに私の時代は、いい大学にはいっていい企業に就職することが、人生にとって一番大事だと思われていました。私の親には、それ以外の人生は見えていないように感じていました。私には絵の才能があり、音楽が好きで芝居が好き、 ストーリーを考える力があると思っていましたが、芸術の分野で暮らしていけるとは思えませんでした。
そんな時に部屋で見た一本のミュージカル映画。私の場合は、それは「雨に唄えば」でしたが、その映画の中に、私の愛するもの、私の人生に必要なものが全てはいっているように感じて、頭から離れなくなりました。初めて見た映画なのに、 懐かしさとありがたさと憧れでいっぱいになり、心が波立ちました。この映画の中の世界のために一生を捧げたいと思うようになったのです。若いうちはいろんなバイトもしましたが、この世界以外は私の世界ではないと思っていたので、 どのバイトも楽しくありませんでした。21歳でミュージカル学校にはいり、夢中でミュージカルに挑み続け、今に至ります。
そんな私の実体験を描いたのが、このミュージカルです。女子大生の話にして現代風の物語にしていますが、主人公の悩みや感情は、私自身のものです。主人公が毎晩部屋で見るミュージカル映画「スワンダフル」は、 古き良き時代のエッセンスもたっぷりの、私の好きなタップダンス・ミュージカルにしました。この作品で、ひとつ実現してみたいと思ったことがあります。1950年代前半の、ミュージカル映画が最も充実した時代の「巴里のアメリカ人」 「雨に唄えば」「バンドワゴン」の最高傑作3本は、ラストシーン近くに、それぞれ10分を超えるダンス・シークエンスがあります。「巴里のアメリカ人」は17分間のバレエ・シーン。「雨に唄えば」は13分間のブロードウェイ・メロディー。 「バンドワゴン」は、12分間のガール・ハントというショーがあり、物語のクライマックスを飾っています。私の人生でも、一本だけそんな作品を創りたいという夢がありましたので、そういう構成の台本に仕上げました。
奈良県出身。作曲・編曲家。2001年ヤマハ音楽院・ベース科を卒業。2005年にアメリカ・ロサンジェルスにて音楽勉強をしながらメジャー・アーティストのサポートベーシストとして活動。 日本に帰国後、作曲・編曲家として活動を始める。現在、舞台・テレビドラマ・ゲーム・webCM・ダンスショウケース、ファッションショー、バンドライブなど、1つのジャンルにこだわらず様々なエンターテイメントに作曲として関わる。 2011年から、様々なジャンルの音楽製作を行うために、音楽製作チーム「SounDive Orch.」を立ち上げ活動中。主な作品として「メイちゃんの執事」(宝塚歌劇 星組)「魔笛」(天野喜孝×IPPEI)「殿といっしょ」(原作:大羽快) 「BASARA」(原作:田村由美)「5jive」(D’OAM)「逆境ナイン」(原作:島本和彦)「忍者じゃじゃ丸君」(原作:大羽快)「魔界転生」(原作:山田風太郎)「戦国無双」「金色のコルダ」「NARUTO-ナルト-」「ヘタリア」等。 ミュージカル座のハマナカトオルとコンビを組んで、ミュージカル「何処へ行く」「マザー・テレサ 愛のうた」「おでかけ姫」と、3作品のオリジナル・ミュージカルの作曲を手がけ、好評を博している。